
講義レポート

第7期10月 金丸泰文先生による特別講義

2025年10月のアマテラスアカデミアの特別講義は、フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長 グループCEO金丸泰文先生からお話を伺いました。
アマテラスアカデミア7期生であり、オンライン秘書サービス あかり事務屋代表の藤原千明が講義レポートをお届けします。
未経験でも飛び込む
金丸先生はセブンイレブンの売上分析システムや佐川急便の配送管理システムの開発に携わってこられました。今は売上700億円超、従業員約3,500人の大企業ですが、最初はご友人と起業された小さな会社だったそうです。
大規模なデータシステムの開発も、最初から経験があったわけではなく、未経験から徐々に積み重ねてきたもの。業界に精通していないことで、その業界の常識にとらわれない視点を強みとして活かしてこられました。5年前にも実績ゼロから新聞業界に参入し、取引企業がさらに拡大しているとのことです。
私自身は未経験の物事に取り組むときに、どうしても怖気付いたり、不安を感じたりしてしまいます。でも、金丸先生は『新しいものにワクワクする気持ち』をとても大事にされている印象を受けました。
講義の中で、日本と海外の一次産業の違いをいくつかご紹介くださいました。例えば林業だと、日本では人が山に入って、人力で伐採した木材を市場でせりにかけます。スウェーデンではロボットが山に入り、樹木のデータをとって市場に流します。市場で買い手が決まったら、そのロボットが伐採するそうです。金丸先生は最新の事例をたくさんご存じで、それを少年のように楽しそうにお話しくださる姿が印象的でした。

分解して考える
ただ、未経験のことや新しいことをやろうとすると、必ず反対する人が出てきます。その人たちともお仕事をする中で大切なことの一つとして「嫌われないで自己主張する」ことを教えてくださいました。正しい意見は切れ味が強く、そのまま伝えると無用な反発を招きます。採用されるように伝え方を工夫しないと、せっかくの良い意見も悪い意見に負けてしまいます。
金丸先生は多くの人に賛成してもらうため、一番自分の意見からと離れた意見の人との距離を測りに実際に会いに行くそうです。そこで相手の意見を聞き、そのロジックを分解します。分解したロジックに合わせて、自分の主張を組み立てることで、相手に嫌われることなく主張できようになります。自分の論理ではなく相手の論理で将来を語ることで、反対していた人にも意見を採用してもらいやすくなるそうです。
この『分解する』考え方は、意見を伝える場面以外でも使っていらっしゃいます。うまくいかないことがあったときも、事象を分解して要素を出し、うまくいくための方法を考えるとのことです。
講義中もさまざまなお話を聞かせてくださったのですが、例えば『国力=軍事力+政治・外交力+経済+DX/AI力』など、ひとつひとつの要素を分解してくださることで耳慣れない言葉も理解しやすく、自分も人に説明するときに取り入れたいと感じました。

選択肢に必ず正解を残す
講義後の質疑応答も盛況で、様々な質問に丁寧にお答えくださいました。中でも私の印象に残っているのは、決断や判断に関する考え方です。
金丸先生は即断即決で、決めてから考えるそうです。その決断は仮決めでよく、考えた結果違うとなったら、そこで変えていく。そして考える選択肢には『その他』を必ず入れるそうです。最後の1つまで絞ったときも『その他』を残すことで、選択肢の中に必ず正解がある状態を維持しているとお話しされていました。
私はいままで、一度決めたら変えてはいけないような気持ちになり、どうしても変えたときには罪悪感を覚えてしまうこともありました。でも金丸先生のように大きな事業を作られた方は、凝り固まらずしなやかに決断されているのだと知り、気持ちが緩やかになりました。
大規模な事業を作られた方の視点や考え方に触れることで、もっと柔らかく生きていこうと思える時間を過ごすことができました。

藤原 千明