講義レポート

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講義日:2021年9月8日

第3期9月:特別講師講義レポート〜日経クロスウーマン創刊編集長の羽生祥子氏〜

こんにちは!ATA3期 絶賛子育てを堪能中の増田千華です。

特別講師講義は日経クロスウーマン創刊編集長の羽生祥子(はぶさちこ)さんにお越しいただきました。

マイノリティ」を大事にして、革新のパワーに変えていきたい

今回の講義で私は、「マイノリティ」を「強み」として影響力を発揮することを深く学ぶことができ、今後自分も感じてきた「マイノリティ」を大事にして、革新のパワーに変えていきたいと思いました。

講義の中で羽生さんご自身の「生」の体験を通した

 

・行動し経験することの大切さ

・一次データを読み解き、先を見る俯瞰力つけること

・弱い部分も晒し、周りに助けを求められる力つけること

 

など、など文章から溢れ出す内容をざっくばらんに話してくださいました。

 

この講義に参加されていない方にも、ぜひ、羽生さんの生き方から女性へのエンパワメントを感じていただけたらという思いでレポートを書かせていただきます。

ぜひ、ご一読ください。

羽生祥子(はぶさちこ)さんってどんな方?


日経BP編集委員

woman

クロスウーマン創刊編集長

日経 ARIA 創刊編集長

日経 DUAL創刊編集長

Doors,

ecomom前編集長

時代の変化を見極めその時代に

必要な雑誌を数々創刊する経歴をもたれています。

 

テーマ:「マイノリティーは革新のパワーだ」

 

現在、第一線で活躍される羽生さんの20代、30代、40代、子育て。

 

ー20代をどう過ごしたか?そしてどう過ごした方がいいか?

 

〜羽生さんの大学生時代から社会人時代の経験を経て〜

 

『ギリギリラインの経験は、早いうちに体験したほうがいい。』

 

そう語る羽生さんの仕事人生のスタートは、華々しい経歴とは程遠く、屋根無し生活をしていたところから始まった。

 

大学時代、将来”いわゆる良い仕事”に就けることを約束されていた理系の学課から、自分が好きなことを貫きたいと、”稼げない”といわれる文系の学課へ転課した経験する。

 

周りの人の反対にあっても、信念を貫き通す姿勢はもうすでにこの頃から始まっていた。

 

文系学科を卒業し、その後、周りの同級生が大手と言われる会社に就職をする中、周りと足並みを揃えた就職活動に違和感を抱いた羽生さんは、フランスへバックパックのような旅に出かける。1年ほどギリギリの生計を立てながら、路上生活のような時期を過ごした。

 

仕事もお金もなかった羽生さんは、“自分にあるものは、なんでも活かして、活用する” ことで生き延びるという実体験を22歳の時に経験する。この経験は、後に大きく羽生さんの仕事人生に活かされる事になる。

 

フランス時代 柔道を教えたりや寿司を握ったりしながら食いつなぐ生活、

そして、その後、日本でも、無職極貧生活、公園の水を飲み、パンの耳を食べていた経験というサバイバルな経験を通して、「自分が役に立つことで、人が喜んでもらう仕事をして対価をもらう。」ことは、羽生さんにとって当たり前となっていた。

 

就職活動に難航し、いろいろな仕事を経て、フリーの編集者という仕事つく。お給料が出たり出なかったりという経験も普通にしていた。

 

『会社に雇ってもらって電車に乗って会社に行ったら、その翌月、お給料が振り込まれてるのはファンタジー』

 

そう語る羽生さんは、フランス帰国後、周りの同級生は、初任給38万円という世間でいう”良い仕事”のレールの上で活躍しているのを横目に見ながら、自分は、就職活動のレールに乗ることができず、仕事に就くのにとても苦労した。

 

キャリアというまっすぐなボーリングのレーンから、ガターに落ちたら2度と戻れない』

 

当時、大学卒業後、まっさらな状態で、すぐに、仕事に就かないということは、まさに、ガターから落ちたのと同じ。第二新卒という言葉もニートという言葉もない時代、何度もメインのレーンに戻ることを、試みたけれど、メインのレーンに戻るのは、やっぱり難しかったと語る。

 

就職活動中の大手の銀行の面接でのエピソードとして、

「君は三つのいらないカード」を持ってると衝撃なこと言われたことも。

 

1.無用の学歴

2.みんなが就職活動しているときになぜできないのか?

3.女性無理でしょ。

 

この「3つのいらないカード」の発言に、憤りを感じ、この雇用の仕方は、今後、人口動態のデータを見て続かないと確信した。こういう違和感や、憤り、「マイノリティ」ともいえるの経験が、後の羽生さんの成功につながっていく。

 

ボーリングのレーンから落ちたようにみえた羽生さんの仕事人生は、契約社員、アルバイト、PJ雇用、ベンチャーとさまざまな経験とともにスタートした。その中で、共に、働いている周りの人たちを観察し、どんな労働スタイルにもトラブルがあるということを知り、「正規雇用になったからといって順風満帆ではないこと、人間関係のいざこざ」などさまざまな仕事の側面を学んでいった。

 

さまざまな仕事を経験しながら、最終的に辿り着いた「やりたいこと」は、「言葉を通して、編む」ということだった。これは、誰にも譲れない一つのことだと確信した。

 

かつて、大学時代、周りの反対も押し切り理系から文系に転向した、高校時代には、授業中に、大好きな本を読み耽っていたことにも共通する「言葉」に関わるということだった。

 

その彼女の心から、やりたいことを追うために、日経マネーに、企画書を100枚書いて持ちこみ、初めての仕事を手に入れることになる。初めてもらった3200円程の報酬の記事が、「言葉」に関わる仕事のスタートだった。

 

ー30代 「自分の強み〇〇 」を 掛け合わせて売り込んでいく。

 

当時、担当することになった経済誌の中で、経済と関係ないと馬鹿にされていた「家計」というテーマに取り組むことになる。

 

「家計が、次の未来を作る。」

 

「家計」は、大きな経済においても、初速度が出てくるところであるということ見抜いていた。そのアイディアをもとに、「家計」を切り口に、資産運用、ETF、積み立て投資のブームに火をつけた。若者のコスト感覚に合う資産投資や共働きのダブルインカム時代を予測し、経済から未来を変えるイノベーションを起こした。

 

今でこそ普通である共働きだが、当時、まだ、共働きは多くなく、保育園について、経済新聞の一面に載るなんて考えられない時代だったことを想像して欲しい。人口動態から、これからの時代を予測し、「保育園の問題や家庭のことは、経済である。」という考えを信じ、その内容を経済新聞の一面に載せるということを目標に動き、実現させた。このアイディアも、羽生さん自身がマイノリティとして、マジョリティに対して違和感を抱いてきた経験をもとに起こしてきた革新の一つであった。

 

「2年差で子供を妊娠した時に、『また妊娠か〜〜』と会社のデスクで大声で言われた経験」

 

羽生さんが、15年前2人目の子を妊娠した時に、「また妊娠か〜」と大声で周りの人に聞こえるように、デスクで言われるという経験をした。その時、「これでは、日本には、二人目の子供を持つ人がどんどんいなくなる。」と危惧を覚えたという。また、ここでの違和感、「マイノリティ」の感覚を革新のパワーに変えていった。

 

「共働きメディアの創刊」だ。2006年に考え始めたこの企画、2013年に子育て中の共働き夫婦を応援するノウハウ情報サイト日経DUAL創刊を実現する。表面的に聞いていると、好きなこと興味があることだけをやっているように聞こえるが、企画を実現するには、、やりたいことをやっているだけではダメだという。

 

時代が来たという風が吹いたときに、実行に移す。

 

自分がやりたいことと言っても、世間がついてこないと予算がついてこない。だから、会社人として課せられた売上を上げることは大切にしている。

 

泣き腫らしながら、家に帰ることも

 

順風満帆に創刊をたくさんして、成功されているように見える羽生さんにも、大変なことはたくさんあった。数億円の大赤字を掘ったことも、飛び降りたほうが早いんじゃないかと思ったことも、泣き腫らしながら、家に帰っていくこともたくさんあった。

 

それでも、負けてるゲームも、勝てるゲームに変換していく。自分がやる。

「あの人が動くのを待っているのでは変わらない。」姿勢を忘れずに仕事をして来た。

 

ー40代 企業、政治、大学におけるマイノリティに挑む。

日本は、「ジェンダーギャップ121位」どうにかしたい。

 

ここで、日本の働く女性の人口動態を時代の流れに合わせて図で見て欲しい。

 

*講義資料より引用

 

図にもあるとおり、

 

Mカーブの世代: 仕事か家庭か産 後離職、パート勤務

育休世代:共働き子育て 男性育休

100年時代 女性管理職増と時代は、変化している。

 

このデータが、これからやりたいことを進めていくのに、大きいヒントを与えてくれる。

羽生さんの企画もこのデータをもとに時代の風が吹くことを予兆し、その時に、企画を進め、数々のメディアを創刊してきた。つまり、前にも言った通り、社会がそれを求めてない時に、やりたいことをうっていっても、うまくいかない。「時代が来たという風が吹いたときに、実行に移す。」ことをこのデータを使って実行に移す。

 

「的に当てようと思うと外れる。自分で当たる的を作り、的に当てる。」

 

とはいえ、流行っているからそれをやると、人気すぎるところにあてていくという話になる。

それだと、うまくいかないそうだ、時代を読み、絶妙なタイミングで企画をスタートさせることがポイントだという。

 

「だめって言われて、ボツって言われて反対されてからがスタート」

 

時代を敏感に読む力と、反対されてからがスタートという姿勢に、羽生さんの成功の秘訣があるのではないか。

 

ー若い子を指導していて大切に伝えていること〜次の世代を育てる〜

 

次の世代を育てるようになり、若い子に伝えてるのが、この言葉を使っては絶対ダメだよということだ。

 

「私の仕事ですか?」

「個人の感想ですが、、」

 

という言葉をよく聞く。ここで、羽生さんが、強く伝えているのは、「これ個人的な意見なので判断にお任せします」という発言が、一番ダメということだ。あなたの口から発してる言葉は、あなたの意見、失敗することを恐れず、そのリスク取ってチャレンジするところまでが意見だと認識する必要がある。どんな小さい仕事でも、新規で10億作れって言われてもオーナーシップを持って自分でやる覚悟をもつ。新しいことをするのは覚悟がいることであると語る。

 

キャリア時計を考える。

「人生を1日に例えたらあなたは今何時にいる?」こんな質問をATA受講生に投げかけた。

 

*講義資料より引用

 

あなたが今何時にいるのか考えて欲しい。

 

まだまだ、時間がある?

それとも、もう時間がない?

 

羽生さんは、この時計を見てこう思われるそうだ。

 

「ここまでやってまだ午前中なんだという気持ちもあるけど、嬉しい。

まだまだやりたいことがある。」

 

最後に、こんなメッセージをくださった。

 

あなたの中の少数派の力こそ

組織のダイバーシティに

社会のイノベーションに。

 

十中八九反対されてることをイノベーションの源泉にしていると答えてくださった羽生さん

その後、アカデミア生の溢れ出す質問に答えてくださり、参加者全員 エンパワメントされ時間とななりました。

 

この機会をいただいたアマテラスアカデミアの人間として、次の時代をエンパワメントしていけるような女性として輝いていこうと思います。

 

作成:ATA3期 増田千華

寄稿日:2021年9月25日
リポーター

増田千華
(有)アルス代表/母業

コンテンツプロデュース 営業代行