講義レポート

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講義日:2026年10月7日

第8期10月 金丸恭文先生による特別講義

こんにちは。アマテラスアカデミア8期生の古川理穂がレポートいたします。

今回は、フューチャー株式会社 代表取締役会長の金丸恭文先生が講義をしてくださいました。

金丸先生は1989年、35歳のときに鹿児島市で、2人で会社を創業。その後東証一部上場を経て、いまやグループ社員3,600名超の企業へと育て上げてこられました。政府の規制改革にも長く携わってこられた方です。

講義のタイトルは「Challenge to Innovation」。

アントレプレナーシップのもとでの、挑戦の仕方を学ぶことは、仕事での成功だけでなく、人生の振る舞いにも多くの示唆がありました。



<壁を避けるか、ぶち破るか>

フューチャーの原理原則のひとつに、「起業家と発明家の集団にする」という言葉があります。金丸先生はこの「起業家精神」を、壁のたとえで説明してくださいました。

目の前に壁が現れたとき、「この壁は無理だ」とすぐに諦めてしまう人は、うちの会社にはいらない。求めているのは、その壁の厚さを見極めたうえで「どうすればぶち破れるか」「手で押して無理なら、テクノロジーを使えないか」と考えられる人だ、と。

大事なのは、壁を前に立ち止まることでも、闇雲に突っ込むことでもない。まず壁をよく見て、厚さを測り、砕き方を考えること。逆に言えば、分析した結果「ここは自分たちが戦う場所ではない」と判断したなら、潔く別の道を探すということでもあります。

「挑戦」は長らく時代を支えてきたような根性論でも、一過性のものでもなく、冷静な分析の上に成り立ち、絶えず続いていく思慮深い旅路なのだと感じました。


<「やらないこと」を決める——戦略は消去法>

その考え方がよく表れていたのが、「戦略の本質」のお話です。

スライドに並んでいたのは、「差別化」「非参入分野」「非ターゲット顧客」「非ターゲット商品」。「何をやるか」よりも「何をやらないか」が並んでいること。

金丸先生いわく、参入分野は絞り込めば絞り込むほど、外れたときにおしまいになる。だから、自分に向いていないもの、関心のないものを消去法で削り、残ったものをとりあえず全部ターゲットにしている、のだそうです。

実際にフューチャーでは、「ハードウェアを扱わない、モノを売らない」と決め、当時の実力では勝てないと判断した金融業界には、あえて営業をかけなかったそうです。その金融は、いまでは全国の地方銀行の仕事を手がけるほどの強みになっています。

力量を知り、時期を待つ。これは会社経営に限った話ではないと思います。

限られた時間とエネルギーを、どこに注ぐのか。「やらないこと」を決めることで、本当に向き合うべき壁に全力を注げる。

私たち一人ひとりの「人生経営」にも、そのまま当てはまる考え方だと感じました。

私自身も、同僚が退職し、役職が上がり(というよりも部署に一人になった)、何は優先順位から外すべきなのか、その取捨選択の大切さを身に沁みて実感していたところでした。やらないことを決めることで、自分のエネルギー効率も良くなり、本当にこなすべきことのクオリティーも上がったのです。

金丸先生の「やらないこと」を決める、戦略は消去法だという、言語化が非常に腑に落ちました。


<早く取り入れ、微妙なら捨てる——リスクを取る軽やかさ>

もうひとつ印象的だったのが、新しい技術やトレンドとの付き合い方です。

新しい流れが生まれたとき、日本では様子を見てなかなか手を出さないことが多い。それは「手を出して、やっぱりだめだったと言われたくないから」。けれど金丸先生は、まず手を出してみて、だめなら捨てればいい、とおっしゃいます。フューチャーがこうして、市場と信頼を獲得し続けている理由の一つが「先端技術は必ず先に導入する」という姿勢なのだと思います。

特に印象深かったのが、この言葉です。

「AIは失敗データを栄養にして賢くなる。それなのに人間が失敗を恐れて、成功データだけで人生やっていけるわけがない。」

リスクを取らない、安定や安全を求めるのは、動物の本能的な面も大いに貢献していると思います。しかし壁の厚さやリスクの大きさを理解した上でリスクを取るその「軽やかさ」こそが、安定志向の世の中で抜きん出ている人や企業の、成功者たる所以なのでしょう。

私自身、学生時代に旅をしている時からリスクは取る方だと自負していましたが、日々年齢を重ね、急速な技術や市場の変化を伴う社会の渦の中で、多くのことがルーティン化していたような気がします。あらためて、どんなリスクが、どんな失敗が、私を成長させてくれるのか、怖気付かずに挑戦していこうと思わせられる時間でした。


<明日から始める小さな挑戦>

今回の講義を実践に移すため、以下を意識していきたいと思います。

  • 壁の厚さを測る:困難にぶつかったら、まず「何が壁なのか」を分析する。
  • 砕き方を考える:自分の力だけで無理なら、道具や仲間、テクノロジーを使えないか考える。
  • 「やらないこと」を決める:自分が戦う場所ではないと判断することも大切。
  • 新しいものにはまず触れる:AIなどの新しいツールは、評価が定まる前に使ってみる。合わなければ手放す。
  • 失敗を栄養にする:失敗の経験を、次の挑戦のためのデータとして受け止める

最後に質疑応答では、今後のAIの未来について、金丸先生のご意見を聴くことができました。全容は割愛しますが、AIに関して賛否両論、あることないこと様々な議論が繰り広げられているこの時勢、その中心地を歩む金丸先生の思考に触れることができ、大変興味深かったです。

それでは、壁をよく見て、砕くか、別の道を模索するか。そして自分の決断には、ねばり強く突き進む。私自身の「人生経営」も、そんな軽やかさと粘り強さをもって挑戦を続けていくことをここに宣言して、本レポートのまとめとさせていただきます。

金丸先生、刺激に満ちた講義、

心より感謝申し上げます。

寄稿日:2026年10月20日
リポーター

古川 理穂