講義レポート

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講義日:2022年5月11日

第4期5月 第2回特別講師講義レポート~渡邊裕子氏~

■特別講師

HSW JAPAN 共同経営者 / Greenmantle シニア・アドバイザー / 株式会社サイボウズ 社外取締役/ フリーランス・ライター&コンサルタント

渡邊 裕子氏

 

特別講義テーマ:「NYで生き残るための10の法則」

 

20年以上にわたり、アメリカを拠点にご活躍されている渡邊裕子氏に、グローバルな環境でキャリアを築くために心がけるべきことを教えていただいた。

 

1:子どもと見られないようにする

日本人は若く見られることが多いが、仕事をする上でマイナスにしかならない。

自分をどう見せたいのか?どう演出するのか?見た目や喋り方などを意識すること。

 

2:以心伝心はないものと思え

人種のるつぼであるアメリカでは、「言わなければわからない」が大前提。

「察してほしい」は、甘えであり、相手に対する期待値が高すぎる。必ず言語化すること。

 

3:他人と違うことをプラスだと考える/他人と比べない

アメリカは、違う常識を持った個人の集まりなので、そもそも比べることに意味がないし、埋もれることがマイナス。「自分は自分」で、自分の持ち味を出すこと。

 

4:日本人が当たり前にできる得意なこと、かつアメリカ人が不得意なことをきちんとやる

日本人=几帳面、義理堅い、締め切り守る・・・日本人が当たり前にできることを、外国人はできないことが多い。だからこそ、それが強みになると「意識して」やる。

 

5:必要とあらば、喧嘩することを厭わない

「いい人」だと思われたい願望を捨てること。プライドを持って仕事をしていたら、衝突をしないわけがない。自分の意見を主張し、譲れないものは譲れないと衝突するプロセスに意味がある。

 

6:「ビッチ」と呼ばれることを恐れない

「ビッチ」と呼ばれるのは、仕事ができる人だと嫉妬されているから。みんな「まいった」と思っている結果だから気にしない。「絶対に自分を通す」という強い思いがないと、いい仕事ができない。

 

7:自分のことは自分で決める。自分で守る

自分の人生、誰も責任をとってくれない。アメリカでは転職でスキルアップするのが当たり前。「今の仕事(会社)で何を学んだら辞めるか」「自分はこの先どこにいきたいか」を常に考えて動く。

 

8:自分なりの心身のリセット・気分転換・ストレス解消の方法をもっておく

成功している経営者は、瞑想を修行してまで習得する。クリエイティブになるのは、余白があるとき。心身の状態を良いものにできるよう、常にメンテナンスする。

 

9:アメリカ人に読んでもらえるパンチのある簡潔な文章の書き方、耳を傾けてもらえる話し方のコツを身につける

そのために、アウトプットして練習する。言語は恥をかかないとうまくならない。プライドが高いと、上達しない。自分で話せないと、社交的な場に行っても交流ができずに終わってしまう。

 

10:グローバル化に対応できる人間になる

グローバル化に対応できる=「Awayで戦える人間になる」「異文化に対する耐性を強くする」。

世界どこに行っても、仕事が見つけられる・生み出せる人材になる。

 

大切なのは「自分の人生を自分で決め、前に進んでいく強さ」

 

上記を踏まえ、アメリカや世界で活躍していくには

「自分の人生を自分で決め、衝突や困難があっても進んでいく強さ」が必要だと感じました。

 

同調、調和を大切にする日本社会とは違い、

アメリカでは様々なルーツを持つ個々が、それぞれの人生をデザインしています。

15人いたら15通りの考え方があるのは当たり前。

他人と違うこともポジティブに捉え、自分の意見を主張していかなければ、

自分の時間や機会を逃してしまいます。

 

またアメリカ社会でさえ、女性は”NICE”でいなくてはならないという

潜在的な意識が刷り込まれていると渡邊氏は指摘します。

幼少期より育児・家事をする母親の様子を間近で見てきているため、

仕事で男性上司の尻拭いをさせられたり、給与交渉がうまくできない女性も多いといいます。

 

自分の人生を自分で決め、守っていくためには、

「良い人」と思われることを捨てる強さと、

意見や権利を主張するための交渉術、つまりは戦略と準備が必要だということを学びました。

 

「リスクは避けるものではなく取るもの」日本人に必要なのは失敗を恐れないこと」

 

渡邊氏による10の法則を聞き、

日本とアメリカでの、人生やキャリアについての考え方の違いに圧倒させられると同時に、

世界の広さやレベルの高さを痛感します。

なぜこんなにも、日本の社会やキャリア観はグローバルのスタンダードから取り残されているのでしょうか?

 

「日本では失敗したらおしまい、という考え方が幼少期より刷り込まれている」

と渡邊氏は指摘します。

 

例えば日本では終身雇用という言葉があるように、

1つの職場で長く働くことが良しとされています。

一方、アメリカでは転職することでスキルアップを図ります。

たとえ失敗しても次があると信じ、どんな環境にいても戦える人間になることが、

グローバルな社会で生き残る術だといいます。

 

また「日本人は安心安全を求めすぎる。リスクは避けるものではなく取るもの」と渡邊氏。

リスクゼロはあり得ないことを前提に、自身の人生をどう生きるか?考えなくてはいけません。

日本の中だけの尺度で物事を図らず、日本の外にも出ていくこと、

そして普段から自分のアンテナをたてておき、できることの選択肢を増やしていくことが大事だと学びました。

 

アメリカで就職できたのは運!?「まずやってみる」の精神が縁を引き寄せた

 

約30年もの間、ニューヨークのグローバルな環境で働いてきた渡邊氏。

このようなチャンスを手に入れられた要因を質問したところ、その答えは「運」でした。

アメリカの大学院を卒業後、

ビザが取れなければ日本に帰ればいいや、ぐらいに思っていたそうです。

 

しかし、「自分を引き上げてくれた仲間に出会えた」と渡邊氏は話します。

他人の方が自分の長所をわかっていると信じ、

知り合いが紹介してくれた仕事や機会にとことんチャレンジしたそうです。

結果、自分では気づけなかった自分自身の能力を生かすことができ、

今のキャリアに繋がっているとのことです。

 

アマテラスアカデミアでは、

自分の天命・使命、志を知り、その自覚を持つことをテーマの1つとして活動しています。

そのような自分の核となるものを大事にしながら、

時には流れに身を任せて、まずは何事もやってみることも必要だと感じました。

 

ATA4期 鈴木美朝

 

寄稿日:2022年5月20日
リポーター

鈴木 美朝
実業家・開業予定